福岡市による自衛隊への青年の名簿提供をやめさせ、条例改正を
福岡市議会議員 山口湧人
福岡市は、自衛官募集のために自衛隊が対象者の個人情報を閲覧することに留めていましたが、昨年、髙島宗一郎市長が「対象者の情報を紙媒体等で提出することは、公益上の必要があると考えており・・・提出を行ってよいか」と市の個人情報保護審議会に諮問しました。この諮問に対して、審議会は、「公益上の必要性が認められる」として、紙媒体で対象者の氏名と住所を名簿にして提供することを認めてしまいました。これは、当事者の青年をはじめ広範な市民の反対の声を無視し、公の個人情報保護の責任を放棄するものであり、断じて許されるものではありません。
ただし、審議会は答申の中で、「毎年度、情報の提供に先立って、公益上の必要性に関する説明を含めた市民への周知を行い、自己の情報を提供してほしくない旨の意思表示を行った市民については、提供する情報から除外する措置を講じること」という条件を付けました。この「除外希望者の除外措置」は、個人情報保護法23条第2項の「オプトアウト」と呼ばれる制度です。この制度は主に民間企業に適用されるものであり、自治体に対してこのようなことを求めるのは異例のことです。行政など公的機関が個人情報を提供するとなれば、それは公益性が高いことが当たり前だからです。しかし、審議会では、「公益の中身が分かりにくい」「法定受託事務だから公益性があるのだというのは、ちょっと短絡的な感じがする」など異論が出され、かろうじて「公益性の必要が認められるもの」と判断したものの、その公益性は極めて低いと断じたのです。
この「オプトアウト」規定を徹底するためには、提供しようとしている18歳、22歳になる青年一人ひとりに、個人情報を自衛隊に提供する公益性と除外措置があることを直接通知し、または本人が容易に知り得る状態にしておくことが必須条件となってきます。しかし、私が街頭で当事者の青年と対話すると、ほとんどの青年が「知らない」と答え、本人の同意なく勝手に提供することに対して、「嫌だ」「気持ち悪い、意味が分からない」など抗議と嫌悪感が語られました。福岡市は、ホームページやtwitter、ポスターなどで周知しているといいますが、全く不十分だと言わなければなりません。
私は、この問題は、私たちの大切な人権のひとつである個人情報があまりにも軽く、粗末に扱われていることを示していると思います。自分の名前や住所、年齢など重要なプライバシーな情報を、自衛隊であろうがなかろうが、第三者に提供するかしないか、他人に教えるか教えないかなど、自分自身で判断することは当然のことではないでしょうか。
共産党市議団として、自らの個人情報をコントロールできるように、条例改正が必要だと考えております。福岡市に自衛隊への青年の個人情報の提供を中止させるとともに個人情報保護の責任を果たせと、当事者の青年をはじめ市民の皆さんと一緒に声をあげ、議会でも共同の力を広げてがんばっていきたいと思います。
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